2011年10月31日

借入の基礎知識

金融機関の方がお金を貸す際に意識するのは資金使途、返済期間、返済原資です。もちろん他にも万一お金が返せなくなったときのことを考えて担保を徴求したりしますが、お金を貸す側の立場として考えることは一言でいうと「返してもらえるかどうか」ということです。これを前提に金融機関の方の意識する項目について簡単に述べたいと思います。

まず、資金使途とは文字通り資金の使い道のことです。その種類には例えば工場の機械などを購入するための設備資金や売上から回収までの期間に支出する資金を補うための運転資金、税金(消費税はNGです。理由は単に預かっているお金を納付するだけだからです。)を納めるための資金としての納税資金、従業員の方に賞与を支払うための賞与資金などがあります。ただし、資金使途違反は絶対にNGなのでご注意下さい。

次に返済期間について。これは特にご説明しなくてもお分かりいただけるかと思いますが、実は他の要素と密接に関係しています。つまりお金を貸す側から考えるとどれくらいの期間でお金を返してもらえるのかということです。例えば納税資金の返済期間を2年にすることは絶対にありません。というのも1年に1度決算をして税金を納める訳ですからその期間を超えてお金を貸すことは絶対にないからです。

そして最後に返済原資。お金を借りたら返済しなければならないことは誰でもわかっていることだと思いますが、借りたお金を返済するための原資はその資金使途によって変わってきます。

設備資金はそのお金で機械などの設備を購入し、売上、利益を増やすことを目的としている訳ですから、その返済原資は「利益(税引後利益)+減価償却費」となります。ここでなぜ減価償却費が出てくるのかといえば、工場の機械などは会計上、減価償却という手続きにより数年(ものよって違います)費用計上しますが、これはお金の支出を伴わない費用です。したがって長い目で見ると手元には、税金を払ったあとの利益と減価償却費を足したお金が残りますから、これが返済原資になる訳です。

同様に運転資金の返済原資は理論上は売上回収金(売掛金)となるのですが、例えば返済期間が5年と長期の場合には、結局のところ借りたお金を使って売上を増加させて手元にのこったお金、すなわち「税引後の利益+減価償却」になる訳です。

どの会社でもそうですが、資金は企業の血液であり空気のようなものです。あって当たり前。資金が足りなくなってからでは遅いので、事前に対応策を検討するようにして下さい。

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Posted by 税理士細川誠哉 at 07:55│Comments(0)ファイナンス
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