2012年07月26日

上場物語6

今日は上場物語の続きです。

上場を目指す際に必ず作成しなければならないものの一つに資本政策というものがあります。

資本政策とは株式上場に向けて①資金調達②株主利益の適正な実現③株主構成の適正化を図るための新株式の発行や株式の移動等についての計画のことで、誤解を恐れずにお話すると上場まで(上場時を含む)の間、誰にどのタイミングでどれだけの数の株式をいくらで持ってもらうのかということを示した一覧表のことです。

私が入社した当時のジェイエムネットは社長が100%株式を保有していましたので上場に向けての資本政策を実施していくのには理想的な形でした。

資本政策やこの後の上場準備作業を行っていくうえで非常に大事な方との出会いがこの時期にあります。公認会計士のT氏です。

T氏は当時の朝日監査法人(現あずさ監査法人)を退職し独立開業されたばかりで上場準備作業に関して色々と具体的にご教示いただきました。(しかし実際の上場申請期になるとT氏は多忙だったため私がほぼ一人で上場準備作業をすることになります。)

さて、話を資本政策に戻しますが、当時は今と違い額面株式、無額面株式の制度があった時代で一般的な事業会社はほぼ100%額面株式制度を採用していました。(ジェイエムネットも額面株式制度を採用していました。)

まずはじめに上場までの資本政策を作成しそれに基づいて具体的な資本政策を実行していったのですが、当時の手順としては定款変更によりまずすべての株式を無額面株式に転換し、その上で株価1円による株主割当増資により社長の持株数を増やします。

次に役員にインセンティブを付与するため簿価純資産をもとに計算した株価による第三者割当増資を行いました。

次に決算を挟んでから(同一決算内だと株価を変えて第三者割当増資をすることの合理的な説明が面倒なためです)事業計画を策定し、それに基づきベンチャーキャピタル等から資金を集めました。

ちなみに一般の中小企業の場合には事業計画を作成しているケースは銀行などの金融機関に提出しなければならない場合を除くとほとんどないのではないかと思います。

そもそも自社で会計処理すらできていなかった会社が原価計算を行い、事業計画を策定することは当時のジェイエムネットにとっては非常にハードルの高い作業でした。(以下続く...。)


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Posted by 税理士細川誠哉 at 18:11│Comments(0)上場物語
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