上場物語7

税理士細川誠哉

2012年08月08日 13:54

上場物語の続きです。

事業計画を策定するといっても当時のジェイエムネット(現ジェイエムテクノロジー株式会社)には参考になるようなものは何もありません。

とはいえ事業計画を策定しないことには何も始まらないので、まず最初にビジネスモデルを数字に落とし込むことから始めました。

具体的には売上金額を「時間×単価」に分解するとともに売上原価も構成要素単位に分解して理論値を算定できるようにします。

次に実績値と比較することにより理論値の精度を向上させ、これに人員計画を加えて事業計画の骨組みを作成します。

あとは固定費と変動費に分解した諸経費を追加することによって事業計画の概略が出来上がりました。

もちろん事業計画ですからこうした数値計画を作成する前に「将来あるべき姿」に向かうために不足しているリソースは何かを客観的に把握するため自社の強み、弱み、機会、脅威などを分析(SWOT分析)し、そこから今後の事業戦略を策定します。

ちなみにこの時作成した事業計画のフォーマットは若干改良されていますが今でも使用されているほど精度の高いものです。

こうして作成した事業計画を資本政策に落とし込んで上場時の時価総額(想定株価)を予想し、これらの資料をベンチャーキャピタルに検討していただきました。

ベンチャーキャピタルだけでなくこうした場合に必要とされる資料はだいたい同じで、定款、登記簿謄本、株主名簿、組織図、経営陣の経歴書、監査法人によるショートレビュー、事業計画書、直近3年分の税務申告書等一式(会社法の計算書類があればそれも)、資本政策、借入明細、主要取引先(上位10社程度)リストといったところです。

実際にベンチャーキャピタルから出資を受けたのは資本政策の都合上、第6期決算がおわり第7期に入ってからでしたが、このような準備を着々と行っていました。

以下続く...。

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